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色部義昭

アートディレクター
グラフィックデザイナー

北川フラム

アートプロデューサー
ディレクター

今回、カンバセーションズに初参加してくれるインタビュアーは、日本デザインセンターに所属し、さまざまな企業や文化施設のロゴやサイン計画、ブックデザインなどを手がけるグラフィックデザイナーの色部義昭さん。今回色部さんがインタビューするのは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターなどで知られるアートフロントギャラリーの北川フラムさん。同じく北川さんが総合ディレクターとなり、2014年に開催される「中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス」では、デザインディレクションを手がけることになっている色部さんが、北川さんにいま聞いてみたいこととは?

5. なぜこんなに集客できるのですか?

北川フラム 

ずっと東京に住んでいるだけだと人はおかしくなってしまうと思うし、実際に多くの人たちの潜在的な欲求があるから、瀬戸内や越後妻有にこれだけの人が行っていると思うんです。

Q.いまや「大地の芸術祭」や「瀬戸内国際芸術祭」には非常に多くの人が訪れていますが、なぜこれだけの集客ができていると思いますか?

北川:まず日本の田舎というのは凄く面白いんですね。ずっと東京に住んでいるだけだと人はおかしくなってしまうと思うし、実際に多くの人たちの潜在的な欲求があるから、瀬戸内や越後妻有にこれだけの人が行っていると思うんです。さらに言うと、日本人というのは旅で色んなことを学んできていて、そこで工夫しながら新しい経験をしてきたのですが、いまは旅がなくなってしまったんです。例えば、東京から高松なんて飛行機で1時間ちょっとで行けるわけですよね。そうなると、行くまでが旅ではなく、行ってから何ができるかを考えないといけない。越後妻有では最初、「こんな広い地域で100ヶ所も回らなきゃいけないなんて冗談じゃない」と言われたりもしたのですが、いざ始めてみるとみんなそれを面白がっているんですよね。瀬戸内にしても、こんなに島ごとに特色があって、海を渡るということがこんなに気持ち良いものだったのかということを学ぶわけです。だから、その場所に行ってからの旅ということを意識しているところがあるんです。最近は「瀬戸内国際芸術祭」にしても、2,3泊くらい滞在して回る人が増えていて、行ってからの旅というものが浸透し始めているように感じます。

昭和40年会「昭和40年会 男木学校」 有馬純寿 「男木校チャンネル」 Photo:高橋公人

Q.北川さんがやられているような芸術祭は、マーケットと関係していないというのも大きな特徴ですよね。

北川:直接的な利点はなにもないし、手間ひまもかかる(笑)。でも、だからこそ良いんだと思っています。これが何かもっと直接的なものだと、「どういうお客さんが買ってくれるのか?」とかすべてお金に直結してしまうんです。現在「瀬戸内国際芸術祭」には4000人のサポーターがいるのですが、多くの人たちが自分が関われる場所を探しているところもあるんですね。東京にいるとどうしてもひとつの駒になってしまうけど、瀬戸内に行くと凄く歓迎をしてくれるし、そういう場所があるというのはうれしいことですよね。それが「これまではこういうやり方をしてきた」とか「こうした方が売れる、効率が良い」という議論になってしまうと、そもそもの目的から外れてしまうんですね。

Q.地方でこうした活動をする意義として感じていることはありますか?

北川:東京に住んでいると、凄くたくさんの選択肢がありますよね。例えばコンサートなどでも色んな歌手の中から選んで見に行けるけど、田舎にはそういう選択肢がない。結局その中で子供の時に見たものというのが、その人のひとつの基準になると思うので、田舎でやるものほど手は抜けないし、子供にとって可能な限り良いものをやろうと考えています。例えば、瀬戸内の男木島には、「昭和40年会」の素晴らしいアーティストたちを呼んでいるのですが、それを子供たちが面白いと思ってくれるかどうかが凄く大事なんです。最近、廃校になっていた男木島の小学校が来年開校することになったというニュースがあったんですよ。それこそ芸術祭などをきっかけに、親の故郷がこんなことになっているんだということを知り、UIターンをした家族が出てきたんですね。僕の希望としてもこういうことがしたかったわけですが、本当にこんなことが起こるんだと驚きましたね。そういう化学反応が、来年の市原でも起きてくれたらいいなと凄く期待しています。<インタビュー終わり>

インフォメーション

北川さんが総合ディレクターを、色部さんがデザインディレクションを担当する「中房総国際芸術祭」は、2014年3月21日〜5月11日まで開催予定。同じくふたりが関わる市原湖畔美術館は現在開館中。 北川さんが総合ディレクターを務める「瀬戸内国際芸術祭2013」の秋会期は10月5日〜11月4日まで。

もっと知りたい人は…

  • 色部義昭 

    色部義昭

    アートディレクター
    グラフィックデザイナー

    1974年生まれ。千葉県出身。東京芸術大学大学院修士課程修了。日本デザインセンター色部デザイン研究室主宰。東京藝術大学非常勤講師。リキテックスアートプライズのグラフィックやTAKEO PAPER SHOW 2011 「本」の展覧会アートディレクション、市原湖畔美術館のVIとサイン計画など、グラフィックをベースに美術館や展覧会等のアートに関連するデザインから企業のCIや公共施設のVI、商品のパッケージまで幅広くデザインを手がけている。

  • 北川フラム 

    北川フラム

    アートプロデューサー
    ディレクター

    1946年新潟県高田市(現上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。主なプロデュースとして、「アントニオ・ガウディ展」(1978-1979)、「子どものための版画展」(1980-1982)、「アパルトヘイト否!国際美術展」(1988-1990)等。地域づくりの実践として、2000年にスタートした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、「水都大阪」(2009)、「にいがた水と土の芸術祭2009」「瀬戸内国際芸術祭2010、2013」等。 長年の文化活動により、2003年フランス共和国政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。「越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクター。