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色部義昭

アートディレクター
グラフィックデザイナー

北川フラム

アートプロデューサー
ディレクター

今回、カンバセーションズに初参加してくれるインタビュアーは、日本デザインセンターに所属し、さまざまな企業や文化施設のロゴやサイン計画、ブックデザインなどを手がけるグラフィックデザイナーの色部義昭さん。今回色部さんがインタビューするのは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターなどで知られるアートフロントギャラリーの北川フラムさん。同じく北川さんが総合ディレクターとなり、2014年に開催される「中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス」では、デザインディレクションを手がけることになっている色部さんが、北川さんにいま聞いてみたいこととは?

2. アートとデザインの違いは何ですか?

北川フラム 

アートには平均値はなくていいし、まとまる必要もない。一方でデザインはみんなが納得できるものを思考せざるを得なくて、それぞれ機能が全然違うと思っています。

Q.いままで開拓されていなかった分野のことをどのように仕事にしていったんですか?

北川:いま考えると、普通なら都市計画などをやる建築家が参加するようなコンペに自分も出していたのは向こう見ずだったなと(笑)。でも、そのなかで仕事を頂けたというのがいまにつながっているんです。コンペで選ばれたら、自分が考えていることをある程度実現できるわけですよね。ささやかではありますが、若い頃から感じていた「こういう部分を変えなくてはまずい」ということを、仕事としてやるようにしてきたつもりなんです。美術には、デザインや建築のような需要と供給の関係というものがないので、例えばパブリックアートのように具体的な地域に関わって、ある意味「用を成す」というのは美術至上主義者からしたらおかしいということになるんですよ。でも、実際の社会に晒されて、好き嫌いを含めて色んなことを言われる世界にアートを持っていきたかったんです。

Q.デザインとアートにはどんな違いがあると思いますか?

北川:デザインというのは、色んな人たちの用を成すことが目的ですよね。一方で美術は、たくさんの人たちの支持は必要ないんです。むしろ美術にとって重要なことは色んなものがあるということ。例えば、2600万人の人間をアルファベット26字に例えると、平均値は真ん中の「M」か「N」ということになるわけですが、そこにいるのは「M」や「N」の人たちだけではないんですよね。中にはとんでもない「A」や「Z」もいるだろうし、アートの場合は、それらがすべて違うことが前提なんです。だから、自分が芸術祭などを企画する時でも、まずはとにかくゴチャゴチャと色んなものがあることが良いと思っているところがあります。アートには平均値はなくていいし、まとまる必要もない。その絵がその人に取って良ければそれでいいんです。一方でデザインというのは、ここにいる人たちみんなが納得できるものを思考せざるを得なくて、それぞれ機能が全然違うと思っています。

田島征三「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」 photo:Takenori Miyamoto+Hiromi Seno 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」より。

Q.北川さんは芸術祭を通してどんなことを目指しているのですか?

北川:美術に対する一般的なイメージというのは、高尚でよくわからないものという感じですよね。でも、いまの話ともつながりますが、みんなが面白い入り方ができるのが本来のアートだと思うんです。芸術祭にしても最近はスーパースターたちが面白がって関わってくれているし、これまでアートに興味を持っていなかった一般の人たちも「なんか面白そう」と感じて来てくれているところがあると思います。例えば、同じ義務教育で学ぶ音楽の場合は、カラオケなどもあって、みんながもっと身近に接しているけど、美術となると1年のうちに絵を描く機会がある人は少ないだろうし、音楽のように歌を口ずさんだり口笛を吹くくらいの感覚ではやっていない。それに音楽の場合は好きか嫌いかを平気で言いますが、美術の場合は「好き嫌い」ではなく、「分かる分からない」で判断するでしょう。それがそもそもおかしいんじゃないかと思うんです。極端な話、子供やお年寄りなど、美術に対する知識がまったくない人たちでも面白がって接してくれるような、誰もが楽しんで見られる仕組みをつくるということをしていきたいんです。<続く>

インフォメーション

北川さんが総合ディレクターを、色部さんがデザインディレクションを担当する「中房総国際芸術祭」は、2014年3月21日〜5月11日まで開催予定。同じくふたりが関わる市原湖畔美術館は現在開館中。 北川さんが総合ディレクターを務める「瀬戸内国際芸術祭2013」の秋会期は10月5日〜11月4日まで。

もっと知りたい人は…

  • 色部義昭 

    色部義昭

    アートディレクター
    グラフィックデザイナー

    1974年生まれ。千葉県出身。東京芸術大学大学院修士課程修了。日本デザインセンター色部デザイン研究室主宰。東京藝術大学非常勤講師。リキテックスアートプライズのグラフィックやTAKEO PAPER SHOW 2011 「本」の展覧会アートディレクション、市原湖畔美術館のVIとサイン計画など、グラフィックをベースに美術館や展覧会等のアートに関連するデザインから企業のCIや公共施設のVI、商品のパッケージまで幅広くデザインを手がけている。

  • 北川フラム 

    北川フラム

    アートプロデューサー
    ディレクター

    1946年新潟県高田市(現上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。主なプロデュースとして、「アントニオ・ガウディ展」(1978-1979)、「子どものための版画展」(1980-1982)、「アパルトヘイト否!国際美術展」(1988-1990)等。地域づくりの実践として、2000年にスタートした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、「水都大阪」(2009)、「にいがた水と土の芸術祭2009」「瀬戸内国際芸術祭2010、2013」等。 長年の文化活動により、2003年フランス共和国政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。「越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクター。