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井口皓太

クリエイティブディレクター
映像作家

小川勝章

作庭家

今回カンバセーションズに登場する井口皓太さんは、デザインオフィス「tymote」の代表を務めるアートディレクター。この秋に、京都を拠点とするクリエイティブエージェンシー「世界」を新たに立ち上げるなど、精力的な活動を続ける井口さんがインタビューするのは、京都の無鄰菴平安神宮円山公園などを作庭し、近代日本庭園の先駆者と言われた七代小川治兵衞をはじめ、江戸時代より数々の名庭園を手がけてきた「造園植治」の小川勝章さん。講演やワークショップなどを通して、庭園文化の発信にも力を入れている小川さんに、庭造りの真髄について伺ってきました。

インタビューを終えて

井口皓太 

作り手として共感させてもらうことが多く、ものづくりを通してお庭とも繋がることができるのだなぁとうれしさでいっぱいになりました。

「庭というものへの憧れが強すぎて、作庭家というお仕事が僕にとってはただただ「ははー!」と頭が下がる思いで、お会いする前は何を話せるのだろうと緊張していたのですが、お話を聞いているうちに作り手として共感させてもらうことが多く、ものづくりを通してお庭とも繋がることができるのだなぁとうれしさでいっぱいになりました。まったく違う世界においても、ものをつくるという思考が、地脈のようなところで繋がっていることに感謝する瞬間でした。
興味ある庭作りの話をたくさん聞けてそれはもう大満足だったのですが、実は冒頭の方で小川さんが言われた『お客様あってのお仕事ですから』という言葉が、僕の中で引っかかっています。なんとなく『クライアントワーク脱却!』という言葉を多く使っていた自分のその真意を、自らが問う機会になりました。僕らのような仕事をしている人間にとってお客様とはどこにいるのでしょう。間にいるレイヤーを取ってしまえば、お客様は近づいてくるのでしょうか。お客様がお客様が…という伝言ゲームのような構造によって、実態のないお客様のために一生懸命ものを作っていたりする。でも、実はそれが『何のために、誰のためにものを作るのか』という最大の難題から逃れながら、流動的にものを作れるシステムだったりすると思うのです。仮想の”お客様”をみんなで生み出して、みんなでヤーヤー仕事してる…。そんな感じでしょうか。
小川さんがおっしゃった『お客様』という言葉には、人だけでなく、それを取り巻く環境や時間、歴史などすべて含まれているように感じました。お庭もそもそもは限られた人のために作庭家さんが作られたもので、いまは時代が変わり、その存在意義自体が変わってきています。先代の声を聞きながら、現在の形に、そして未来に繋げていくという小川さんの姿勢からは、常にクリエイティブを時代や社会と隣合わせで考えているのだなぁということが感じられて感銘を受けました。
その後、七代目が作庭した無鄰菴を散歩させて頂きましたが、お客様である山縣有朋を背に、宇宙と繋がろうと暗中模索し、この庭を完成させた七代目の姿を思い浮かべ『参りました!』と頭が下がりました」

もっと知りたい人は…

  • 井口皓太 

    井口皓太

    クリエイティブディレクター
    映像作家

    1984年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科在学中に株式会社TYMOTEを創立。以後グラフィックデザインを軸に、様々なビジュアルコミュニケーションを行っている。自身は映像作家として活動。近作として『Kanji City Kyoto』、HaKU MV 『everything but the love』、SOUR MV 『Life is Music』など。

  • 小川勝章 

    小川勝章

    作庭家

    1973年生まれ。幼少期の多くを庭園にて過ごす。1989年高校入学時に父である11代小川治兵衞に師事。思春期の多くを庭園掃除にて過ごす。96年立命館大学法学部を卒業し、造園植治入社。新たにご縁をいただく庭園や、歴代及び当代の手掛けた庭園において、作庭・修景・維持を続ける。近年は7代小川治兵衞が最も精魂を注いだある庭園において、次代へと繋がる作庭・修景・維持に取組む。また、講演やワークショップにおいて、庭園に重ねられた思いの伝達に努めている。1級造園施工管理技士、京都精華大学非常勤講師(名城大学特別非常勤講師等を歴任)、「京都市DO YOU KYOTO? 大使」。