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服部 円

編集者

深井晃子

キュレーター
服飾研究家

今回インタビュアーを務めてくれる服部円さんは、「honeyee.com」「.fatale」をはじめファッション系メディアを中心に活動し、猫×クリエイターをテーマにしたWebマガジン「ilove.cat」も主宰する編集者。そんな服部さんがインタビューするのは、京都服飾文化研究財団(以下KCI)で理事、チーフキュレイターを務める深井晃子さん。深井さんがキュレーションした展覧会を見たことが大きな転機になったという服部さんが、深井さんにいま聞きたいこととは?

5. 展覧会はどうやってつくるのですか?

深井晃子 

空間を考えていく作業は、自分の想像力を元に絵を描いたり、彫刻をつくる作業に似ています。美術館で見せるファッション展は、ひとつのシーナリーとして絶対に美しく見えないといけないと考えています。

Q.展覧会についてもお伺いしたいのですが、深井さんが展覧会を企画される時は、テーマやコンセプト、開催時期などをどのように考えていくのですか?

深井:最も重要なのは時代やファッションがいまどのように動いているのかということです。まずはそれを考え、KCIとして何を見せたいのかということと合わせて構成していきます。また、開催時期も大切になりますが、私は歴史というのは過去を振り返るためにあるのではなく、未来を考えるためにあるものだと考えているんですね。できるだけ長いスパンの過去を見ておけば、それだけ遠い未来が見通せる気がしているのですが、そのおかげもあってか、まだ時期を見誤ってしまうようなことはないですね。

「Future Beauty」展 at 東京都現代美術館(2012)  (C) Kyoto Costume Institute, photo by Osamu Watanabe 「身体の夢」展 at 京都国立近代美術館(1999)  (C) Kyoto Costume Institute, photo by Naoya Hatakeyama

Q.ひとつのテーマを展覧会という空間の中で見せていく時にはどんなことを意識していますか?

深井:展覧会のテーマ設定というのはなかなか苦しい作業でもあるのですが、空間をつくっていくことはとても面白く、私の好きな仕事です。ただ、図面上ではあまり具体的なイメージが描けないタイプで、その空間に入ってマネキンを置いたりしていくなかで、色々な要素が明確になっていきます。空間を考えていく作業というのは、自分の想像力を元に絵を描いたり、彫刻をつくる作業に似ています。展覧会といっても、『身体の夢』展や『Future Beauty』展のようにアーティスティックなアプローチもあれば、『モードのジャポニスム』展のような、文化・歴史的なコンテクストをしっかり伝えるタイプのものもあり、それぞれ多少考え方は違いますが、美術館で見せるファッション展では、レイアウトからマネキンのポーズまで、ひとつのシーナリーとして絶対に美しく見えないといけないと考えています。

Q.最後の質問です。深井さんにとってファッションとはどんなものですか?

深井:本当はファッションが嫌いなんです(笑)。ファッションにはあまりにも要素があり過ぎて、色んなところからアプローチできてしまうから、つかみどころというものがなく、嫌になってしまうことがあるんです。さらに、いまはファッションがより多様化していて、パリコレというものがひとつの尺度になっていた90年代とは大きく状況が変わっています。そういうこともあって、私は2004年からパリコレにはもう行く必要がないと感じ、違う場所で起きているさまざまな現象を追っていかないといけないと考えるようになりました。ファッションに関わる多様なものをそのまま伝えるのではなく、あるテーマに焦点を当てていくということが、展覧会をつくることであり、自分の仕事なのかなと考えています。<インタビュー終わり>

もっと知りたい人は…

  • 服部 円 

    服部 円

    編集者

    編集者。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、同大学院中退。女性ファッション誌の編集者を経て、現在はフリーランスの編集者として「honeyee.com 」「.fatale」などに関わる。猫×クリエイターをテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」主宰。

  • 深井晃子 

    深井晃子

    キュレーター
    服飾研究家

    京都服飾文化研究財団理事、チーフキュレーター。1979年よりKCIで学芸部門の仕事に関わる。1990年よりチーフ・キュレーターとして収集、保存、研究、公開などの学芸全般の活動を統括する。1996年理事に就任。2008年、西欧服飾の研究者として活躍し、なかでもファッションにおけるジャポニスム研究の第一人者として、我が国の服飾界の発展に貢献したことが評され、文化庁長官表彰を受賞。