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服部 円

編集者

深井晃子

キュレーター
服飾研究家

今回インタビュアーを務めてくれる服部円さんは、「honeyee.com」「.fatale」をはじめファッション系メディアを中心に活動し、猫×クリエイターをテーマにしたWebマガジン「ilove.cat」も主宰する編集者。そんな服部さんがインタビューするのは、京都服飾文化研究財団(以下KCI)で理事、チーフキュレイターを務める深井晃子さん。深井さんがキュレーションした展覧会を見たことが大きな転機になったという服部さんが、深井さんにいま聞きたいこととは?

3. 洋服に美術的な価値はありますか?

深井晃子 

洋服はどんなに高いものでも数千万円程度で、金銭的な価値としてはそれくらいが限度です。ただ、だからといってアートピースではないとは思っていません。

Q.美術作品などに比べて、繊維製品である洋服というのは保存が非常に大変だと思います。KCIでも温度や湿度を管理して保管されていますが、どんな点に注意しているのですか?

深井:以前に比べて技術が進化しているので、より長い期間保管できるようになってきているとは思いますが、それでもやはり洋服のような繊維製品は難しいですよね。KCIでは常時気温20℃、湿度50%で保管しているのですが、これが現在では最良の方法だと思います。それでも1000年以上経てば朽ち果ててしまう可能性はあるし、逆にその頃には保管方法がさらに進化していることも考えられます。ただ、それはいまの私たちには予測できないので、とにかく虫を付けない、カビを生やさないという基本的なことを続けていくしかないですね。

Q.古い洋服の修復をされているところも少しだけ見学させて頂いたのですが、こうした取り組みも立ち上げ当初からやられていたのですか?

深井:はい。できることならば、なるべく修復せずに元の状態のまま残したいのですが、それが原因で洋服全体が壊れてしまうということもあるので、最低限の補強はするようにしています。補強の考え方にも流行のようなものがあり、元の通りに復元した方が良いという考え方と、たとえダメージを受けていたとしても、さらに悪くならないように最低限の補修にとどめる方が良いという考え方があって、近年は後者が主流です。一方で、絵画の世界では、いまはどちらかと言うと元通りに復元するという考え方が主流になっていますよね。

「身体の夢」展 at 京都国立近代美術館(1999)  (C) Kyoto Costume Institute, photo by Naoya Hatakeyama

Q.美術作品やジュエリーなどはかけられる保険金も高く、しっかり守られているイメージがありますが、洋服というのはどうしても消費されるものというイメージがありますよね。とはいえ私は、洋服にも美術作品同等の価値があると感じるのですが、深井さんはどのようにお考えですか?

深井:美術作品やジュエリーなどには億単位のものがたくさんありますが、洋服はどんなに高いものでも数千万円程度で、金銭的な価値としてはそれくらいが限度なんですね。ただ、だからといって洋服がアートピースではないとは思っていません。何百年先に残すことが想定されている絵画などに比べ、洋服というのは衣服としてつくられているということが前提にあり、そこが絵画との違いなのだと思います。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 服部 円 

    服部 円

    編集者

    編集者。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、同大学院中退。女性ファッション誌の編集者を経て、現在はフリーランスの編集者として「honeyee.com 」「.fatale」などに関わる。猫×クリエイターをテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」主宰。

  • 深井晃子 

    深井晃子

    キュレーター
    服飾研究家

    京都服飾文化研究財団理事、チーフキュレーター。1979年よりKCIで学芸部門の仕事に関わる。1990年よりチーフ・キュレーターとして収集、保存、研究、公開などの学芸全般の活動を統括する。1996年理事に就任。2008年、西欧服飾の研究者として活躍し、なかでもファッションにおけるジャポニスム研究の第一人者として、我が国の服飾界の発展に貢献したことが評され、文化庁長官表彰を受賞。