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服部 円

編集者

深井晃子

キュレーター
服飾研究家

今回インタビュアーを務めてくれる服部円さんは、「honeyee.com」「.fatale」をはじめファッション系メディアを中心に活動し、猫×クリエイターをテーマにしたWebマガジン「ilove.cat」も主宰する編集者。そんな服部さんがインタビューするのは、京都服飾文化研究財団(以下KCI)で理事、チーフキュレイターを務める深井晃子さん。深井さんがキュレーションした展覧会を見たことが大きな転機になったという服部さんが、深井さんにいま聞きたいこととは?

2. コレクションの特徴は何ですか?

深井晃子 

それぞれの時代を表象する美やシルエットを持っているものを自分たちの意思で集めているので、数は多くありませんが、筋は通っていると言えるかもしれません。

Q.KCIのコレクションは、ヴィクトリア&アルバート博物館などの海外のコレクションと比べた時に、どんな特徴があるのですか?

深井:ヴィクトリア&アルバート博物館やメトロポリタン美術館、装飾美術館のコレクションというのは主に寄贈品で、19世紀頃にパリのオートクチュールをたくさん買っていたお金持ちが後に寄贈しているんですね。一方で私たちの場合は、寄贈して頂くこともありますが、自分たちで購入するケースがほとんどです。それぞれの時代を表象する美やシルエットを持っているものを自分たちの意思で集めているので、数は多くありませんが、筋は通っていると言えるかもしれません。以前にKCIのコレクションを用いて、タッシェンから『ファッション―18世紀から現代まで―』という分厚い本を出したのですが、いまでも非常に価値が高いものだと世界的に評価されています。

Q.収蔵庫を拝見してみて、コム デ ギャルソンのコレクションが非常に豊富なことに驚きました。

深井:90年代前半に、デザイナーの川久保玲さんが1000体ほどのコレクションを寄贈してくれたのですが、これはまさに青天の霹靂だったのと同時に、大きな責任を感じました。ファッションの歴史上、非常に大きな意味を持つコム デ ギャルソンの80年代のコレクションがあるということは、KCIにとっても非常に大きな財産だと考えています。本当は、これらのコレクションでコム デ ギャルソンの展示をしたかったのですが、もしそうするなら自分自身でやりたいという川久保さんの強い意志があり、いまはまだ時間がないから難しいと言われてしまいました。ただ、先日開催した『Future Beauty』展がその代わりの役割を果たしてくれたと考えています。この展示では、日本のファッションが歴史的な文脈においてどんな意味合いを持っているのかということをしっかり世界に見せたかったんです。そこで日本ではなくロンドンから展示を始めたのですが、実際に多くの方が認めてくださり、日本のファッションが改めて評価される良い機会になったと感じています。

『Future Beauty』展 at 東京都現代美術館(2012)  (C) Kyoto Costume Institute, photo by Osamu Watanabe KCI Digital Archives KCI Digital Archives

Q.KCIでは、デジタルアーカイブスにも力を入れていますね。

深井:デジタルアーカイブスに早くから取り組んでいたのはフランスで、90年代くらいにそれを見て、すぐにうちでもやろうということになりました。もともと写真は非常に大切だと考えていたので、それ以前から撮り貯めていたことも良かったのだと思います。KCIには常設の展示室がないのですが、私はそれをメリットととらえていきたいと考えています。洋服というのは、きれいな状態で見せようとするとマネキンが必要になるんですね。ただ、そうすると洋服は傷みやすくなってしまうし、収集庫で寝かしている方が長持ちするんです。だから、普段はデジタルアーカイブスでコレクションを見られるようにしておき、ある期間だけ展覧会を行い、現物をお見せするというやり方が理想なのではないかと思っています。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 服部 円 

    服部 円

    編集者

    編集者。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業、同大学院中退。女性ファッション誌の編集者を経て、現在はフリーランスの編集者として「honeyee.com 」「.fatale」などに関わる。猫×クリエイターをテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」主宰。

  • 深井晃子 

    深井晃子

    キュレーター
    服飾研究家

    京都服飾文化研究財団理事、チーフキュレーター。1979年よりKCIで学芸部門の仕事に関わる。1990年よりチーフ・キュレーターとして収集、保存、研究、公開などの学芸全般の活動を統括する。1996年理事に就任。2008年、西欧服飾の研究者として活躍し、なかでもファッションにおけるジャポニスム研究の第一人者として、我が国の服飾界の発展に貢献したことが評され、文化庁長官表彰を受賞。