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橋詰 宗

デザイナー

間口一就

バー「ロックフィッシュ」店主

今回インタビュアーとして登場するのは、デザイナーの橋詰宗さん。グラフィック・デザインやアートディレクション、ウェブデザインなどの枠にとどまらず、ワークショップやイベントなど、デザイン/編集的な視点から、さまざまな人、コト、モノをつなげる場づくりにも積極的に取り組んでいる彼が、話を聞きたい人として名前を挙げてくれたのは、銀座のバー「ロックフィッシュ」の店主・間口一就さん。特製ハイボールと、独創的なつまみで人気を集めるバーを営む傍ら、ご自身の著作も出されている間口さんに、橋詰さんが聞きたいこととは?

3. なぜメニューが縦書きなんですか?

間口一就 

いざ縦書きにしてみると、平仮名、片仮名、漢字のバランスが面白かったので、メニュー名にそれらを織り交ぜていくようになりました。

Q.お店に置かれている本のセレクションが以前からとても気になっていたのですが、もともと本を読むのがお好きだったんですか?

間口:昔からそんなに読んでいたわけではなかったんです。東京に来てから本と接する時間が長くなりましたね。神保町にもよく行ったし、まだ銀座に古本屋があった頃は、そこで買った本を閉店時間に読んでいました。最初の数年はここで寝泊まりしていたので、本やCDを買っても持ち帰る場所がないからお店に置いていたんです。そうしたらお客さんに「家みたいでいいね」と言われたりして、「まぁ家ですけど」みたいな(笑)。

どこか文学的な間口さんの著作の目次。

Q.間口さんの本の中で一番感動したのが、実は「目次」なんです。以前に僕が編集ワークショップをした時に、目次にズラっと並んだメニューの数々の中から気に入ったものをひとりずつ大きな声で読み上げてもらったことがあるのですが、とても文学的ですよね。

間口:自分は縦書きにこだわっているんです。大体バーのメニューは横書きじゃないですか。でも、居酒屋の品書きや短冊は縦ですよね。僕自身そういうお店が好きだから、「鰹の造り」とか「メンチコロッケ」という文字が横書きされていてもまったく反応しない(笑)。やっぱり筆で書かれたような縦書きのメニューが好きだから、ある日突然縦書きに変えたんです。ここはバーですが、酒場にしたいという思いもありましたしね。いざ縦書きにしてみると、平仮名、片仮名、漢字のバランスが面白かったので、メニュー名にそれらを織り交ぜていくようになりました。

ロックフィッシュの"縦書き"メニュー。

Q.デザインの仕事をしていても、日本語はやはり縦組みによくできている文字だと感じます。そうした言葉から料理を考えていくこともあるのですか?

間口:いや、そういうことはないですね。やっぱり口に入れたものじゃないとわからないんです。とはいえ、すべてを口に入れ切れるわけではないので、スーパーに足を運ぶんです。そうすると季節物が並んでいたりして、「これで何か作ろうかな」と考えながらグルグル周るんです。お店の人には嫌がられますけどね(笑)。さっき話したお店の空間と同じように、つまみを作る時も高い所から俯瞰で見ているところがありますね。

Q.そういうインプットの蓄積によってデータベースが作られて、そこから発想が広がっていくんですね。

間口:そうですね。結局のところ、経験した回数に尽きると思います。思いつきというのはそんなに簡単にできるものじゃないから、実際に見た、触った、食べた、嗅いだ、驚いたということの集積でしかないんです。その経験が多ければ多いほど完成されたものが作りやすくなる。それはもう確率の問題だと思います。僕にとっては、場数を踏むということが面白いんです。大阪にいた時も1日14時間くらい働いていたし、東京に来た当初はそれ以上働いていましたが、そうすると普通の人の倍くらいは仕事をしていることになるんです。この道に入って20年ですが、ある意味40年分くらい経験値がある。すべてはそこに尽きると思います。<続く>

インフォメーション

間口一就さんによる最新刊『銀座「ロックフィッシュ」間口一就の麺々エブリデイ!』は、辰巳出版より発売中。
橋詰宗さんは、2012年10月から2013年3月まで東京・SHIBAURA HOUSEで開催される、「日常」と「実践」をテーマにした新しいクリティカルスタジオ「HUMAN PRACTICE」のメインモデレーターを担当。また、期間中の土曜日の夕方から不定期にHUMAN PRACTICE参加チューターなどによるイベント・ワークショップを1Fカフェ・バースペースにて開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 橋詰 宗 

    橋詰 宗

    デザイナー

    1978年広島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA) コミュニケーションアート&デザイン修士課程修了。さまざまな領域のアートディレクション、ブックデ ザイン、ウェブデザイン等を手掛ける一方、『D♥Y』『HUMAN PRACTICE』『何に着目すべきか?』『紙と束見本』『(   )も(   )も(   )も 展』など実践と着目点をコンセプトにしたワークショップ、スクールや展覧会ディレクションを手がける。

  • 間口一就 

    間口一就

    バー「ロックフィッシュ」店主

    銀座「ロックフィッシュ」店主。愛媛出身。2002年に東京・銀座に進出。ハイボールブームの火つけ役で、看板メニューは氷を入れない「角ハイボール」。また、身近な材料や缶詰を使って簡単で「あっ! 」と言わせるようなおつまみやオリジナルレシピの開発に励んでいる。著書に『バーの主人がこっそり教える味なつまみ』、『バーの主人がこっそり教える甘いつまみ』(柴田書店)、『缶つまデラックス』(世界文化社)がある。