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橋詰 宗

デザイナー

間口一就

バー「ロックフィッシュ」店主

今回インタビュアーとして登場するのは、デザイナーの橋詰宗さん。グラフィック・デザインやアートディレクション、ウェブデザインなどの枠にとどまらず、ワークショップやイベントなど、デザイン/編集的な視点から、さまざまな人、コト、モノをつなげる場づくりにも積極的に取り組んでいる彼が、話を聞きたい人として名前を挙げてくれたのは、銀座のバー「ロックフィッシュ」の店主・間口一就さん。特製ハイボールと、独創的なつまみで人気を集めるバーを営む傍ら、ご自身の著作も出されている間口さんに、橋詰さんが聞きたいこととは?

2. 空間を作る上で大切なことは何ですか?

間口一就 

一応すべてに自分なりの理由があって、自分流にチューンナップしていまのような空間になっているんです。

Q.バーというのは、コンパクトな空間の中で数十センチのカウンターを隔ててお客さんと接しているという面白い場所だと思いますが、醍醐味はどんなところにあると感じていますか?

間口:カウンターの中に入って、色んな人に会えたり、おなじみさんと一緒にいられることが楽しいんです。ずっと通ってくれているおなじみさんになると、話を聞いているうちに、実際に会ったことがないその人の奥さんや子どもの顔まで見えてきて、ほとんど家族みたいになってくるんですよ。おなじみさんが来ても、ほとんど話さないこともありますが、カウンターの中から、今日は何か良いことがあったのかなとか思いながら、お客さんの様子を見ているのも楽しいですね。

Q.銀座に移られてから今年で10年目になりますが、続けてきたことで見えてきたことや変わってきたことなどはありますか?

間口:時の流れが早すぎて、まだ3年くらいしか経っていない感じがしますね(笑)。変わったことと言えば、当初は朝までお店を開けていたんですね。当時そういうお店が意外になくて、良い店は大体12時くらいには閉まっていました。いまは不況だから、逆にみんな営業時間を伸ばしているんですが、やっぱり長く開けていると、お店は傷むし、スタッフも疲弊してしまうんですね。それで、もっとお店を休ませないといけないと思い、徐々に閉店時間を前倒しにしていって、いまでは23時前には閉めています。気づいたらこの辺で一番早く閉まるバーになっていたんですが、長くお店を開けて、ベロベロになったお客さんの最後の1杯に何時間も付き合うくらいだったら、それを自分の時間に使いたい。「15時からやっているから早く来てくださいね」って(笑)。

Q.お店を休ませるという話でしたが、空間のケアについてはどう考えていますか?

間口:やっぱりお店を常に見ているということは大切ですよね。バーの切り盛りをしている時も、常にバードビューじゃないけれど、「あっちはいまこうなっていて、こっちはこじれてるな」みたいなことを知らんぷりしながら見ています(笑)。自分自身の立ち位置や振る舞いなども含めて、バーの色んな場所にカメラがついているイメージで仕事をしていますね。改装も一度しました。お客さんがカウンターの後ろですれ違う時に少し狭かったので、わからないようにカウンターを数センチ手前に移動させたんですよ。あと、昔は背もたれのある椅子を置いていたのですが、仰け反ってしまって姿勢が悪くなるし、お酒もこぼしてしまうから、なくしました。一応すべてに自分なりの理由があって、自分流にチューンナップしていまのような空間になっているんです。

いつ来ても同じ音楽、同じハイボールがある空間にしたかったんです。

Q.ちょっとした変更で作用が変わってきますもんね。BGMについてはどうですか?

間口:サッチモ(ルイ・アームストロング)を365日ずっとiTunesで延々とリピート再生しています(笑)。なぜかというと、昨日来たお客さんが5年後に来ても同じ音楽が聴けるから。バーのBGMというのは、大体主人が悦に浸っている音楽なんですが、あの時に行ったら良かったけど、今日はちょっと違うなということもありますよね。それよりは、いつ来ても同じ音楽、同じハイボールがある空間にしたかったんです。<続く>

インフォメーション

間口一就さんによる最新刊『銀座「ロックフィッシュ」間口一就の麺々エブリデイ!』は、辰巳出版より発売中。
橋詰宗さんは、2012年10月から2013年3月まで東京・SHIBAURA HOUSEで開催される、「日常」と「実践」をテーマにした新しいクリティカルスタジオ「HUMAN PRACTICE」のメインモデレーターを担当。また、期間中の土曜日の夕方から不定期にHUMAN PRACTICE参加チューターなどによるイベント・ワークショップを1Fカフェ・バースペースにて開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 橋詰 宗 

    橋詰 宗

    デザイナー

    1978年広島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA) コミュニケーションアート&デザイン修士課程修了。さまざまな領域のアートディレクション、ブックデ ザイン、ウェブデザイン等を手掛ける一方、『D♥Y』『HUMAN PRACTICE』『何に着目すべきか?』『紙と束見本』『(   )も(   )も(   )も 展』など実践と着目点をコンセプトにしたワークショップ、スクールや展覧会ディレクションを手がける。

  • 間口一就 

    間口一就

    バー「ロックフィッシュ」店主

    銀座「ロックフィッシュ」店主。愛媛出身。2002年に東京・銀座に進出。ハイボールブームの火つけ役で、看板メニューは氷を入れない「角ハイボール」。また、身近な材料や缶詰を使って簡単で「あっ! 」と言わせるようなおつまみやオリジナルレシピの開発に励んでいる。著書に『バーの主人がこっそり教える味なつまみ』、『バーの主人がこっそり教える甘いつまみ』(柴田書店)、『缶つまデラックス』(世界文化社)がある。