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橋詰 宗

デザイナー

江村幸紀

レコードレーベル・オーナー
エム・レコード

カンバセーションズには2度目の登場となるデザイナーの橋詰 宗さん。前回インタビューした銀座のバー「ロックフィッシュ」の店主・間口一就さんから一転、今回彼がインタビュー相手として指名したのは、大阪を拠点に活動するレコードレーベル「エム・レコード」のオーナー、江村幸紀さん。ジャンルを問わず、自らの琴線に触れる古今東西の音楽を世界に向けて発信し、コアな音楽ファンの心を掴んで離さない江村さんのこだわりに、橋詰さんが迫ります。
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5. 音楽の現場はどうなりますか?

江村幸紀 

人間がいる限りライブの空間は残るだろうし、音楽自体もなくなることはないと思います。

Q.最近は東京も大阪もレコード屋さんがなくなってきていますよね。やっぱりお店があって、スタッフがいて、ライナーを読みながらレコードを探していくのと、Googleなどで検索するのでは、音楽を探すという行為の意味合いもだいぶ変わってきますよね。

江村:やっぱり検索するよりは見て回った方が楽しいですからね。特にうちの場合は有形のソフトを作っているので、お店がないとつまらないです。友人のレコード屋などには「絶対やめてくれるなよ」と言っていますが、その意味をちゃんと理解して、うちは絶対に店を続けると言ってくれる頼もしい人もいます。いまはダウンロードがあるし、多くの人にとってはレコードでもCDでもデータでも何でもいいと思うんです。でも、音楽ファンからすると、やっぱりレコード屋がないとつまらないんですよね。

Q.以前にデリック・メイが「MUSIC INSTITUTE」というクラブをやっていて、その名前が凄く好きだったんですね。おそらくそこは、同じ興味を持つ人たちの交流や、新しい価値を共有するための場として機能していたと思うんです。でも、いまは風営法の問題などがあり、日本ではそうした場自体がほとんど失われている危険な状況にあると思います。実際の場で人と接して情報を摂取できるレコード屋やクラブがなくなりつつあるのはとても残念なことですよね。


江村:とはいえ、人間がいる限りライブの空間は残るだろうし、音楽自体もなくなることはないと思います。

エム・レコードのWebサイト。商品の購入もできます。

Q.ライブやイベントということに関して言うと、踊るということ以外の音楽イベントの形が他にもあるんじゃないかなと思っているんです。いま僕がやっている「何に着目すべきか?」というイベントで、今度は音楽をテーマにやりたいと思っています。例えば、各自がレコードを持ち寄って、そのエピソードを話してから音楽を聴くような形にして、ミキサーではなく言葉で音楽をつないでいくようなことができたらいいなと。それなら風営法とも無縁ですしね。

江村:お酒はあっても踊らないですからね (笑)。過去にもそれに近いイベントをやっている人はいたし、かつては音楽ファンは情報を求めてラジオ番組をこぞって聴いていました。そこで個性的なパーソナリティーに紹介される曲のヒストリーや秘話なんかを知ると、音楽の聴こえ方も全然変わるんです。そのイベントをやる時は、僕も呼んでください。

Q.ぜひお願いします! いまはこれだけ情報があるのに、体験のバリエーションというのがほとんどなくなってしまっている気がするんです。

江村:検索で引っかかった最初の10件だけを見て事を済ませてしまいますからね。10万件後に出てくるようなものなんて誰も見ていないのが現状だと思いますが、それでも世の中には変わり種というのは絶対にいます。「配信なんかダセー」みたいな(笑)。

Q.最近はレコードの売上も少し戻ってきているという話も聞きます。

江村:それは、レコードのプレス工場の混み具合などからも実感します。直接聞いた話ではなく、あくまでも私の推測ですが、これまでCDとLP両方で出していた音源をLPだけに絞り、浮いたCDの制作費で別のLPを作るということがブームになっている気がします。個人的にはCDも好きだし、両方楽しんだらいいんじゃないかなと思うんですけどね。とにかく極端なんですよね、市場は(笑)。<インタビュー終わり>

インフォメーション

日本が世界に誇るポストパンク・バンド、サボテンの作品が2枚組LPとして、エム・レコードより6月発売予定。その他にも、ブレンダ・レイのNaffi Sandwich名義のコレクション、フィニス・アフリカエの12インチ、ノー・ライト・ターンをはじめ、年内にさまざまな作品のリリースが予定されている。詳細はエム・レコードのWebサイトにて。
6月11日発売の雑誌「アイデア」にて、16ページにわたる橋詰 宗さんの特集「デザインあの手この手ー橋詰宗とその実践」が掲載予定。

もっと知りたい人は…

  • 橋詰 宗 

    橋詰 宗

    デザイナー

    1978年広島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA) コミュニケーションアート&デザイン修士課程修了。さまざまな領域のアートディレクション、ブックデ ザイン、ウェブデザイン等を手掛ける一方、『D♥Y』『HUMAN PRACTICE』『何に着目すべきか?』『紙と束見本』『(   )も(   )も(   )も 展』など実践と着目点をコンセプトにしたワークショップ、スクールや展覧会ディレクションを手がける。

  • 江村幸紀 

    江村幸紀

    レコードレーベル・オーナー
    エム・レコード

    1970年生まれ。98年にエム・レコードを立ち上げて以来、大阪を拠点にレコードレーベルを運営。「聴いて、見て、読んで楽しむというエンターテイメントをひとつのソフトに封じ込める」ことを掲げ、作品の制作を続けている。