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橋詰 宗

デザイナー

江村幸紀

レコードレーベル・オーナー
エム・レコード

カンバセーションズには2度目の登場となるデザイナーの橋詰 宗さん。前回インタビューした銀座のバー「ロックフィッシュ」の店主・間口一就さんから一転、今回彼がインタビュー相手として指名したのは、大阪を拠点に活動するレコードレーベル「エム・レコード」のオーナー、江村幸紀さん。ジャンルを問わず、自らの琴線に触れる古今東西の音楽を世界に向けて発信し、コアな音楽ファンの心を掴んで離さない江村さんのこだわりに、橋詰さんが迫ります。
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2. 再発にはどんな歴史があるのですか?

江村幸紀 

もともとは人気のある音源をレコード会社がリプレスして出したのが始まりだと思いますが、日本では「リプロ(=reproduction)盤」なんて呼ばれていましたね。

Q.エム・レコードさんは新録から再発、未発表音源まで幅広くリリースしていますが、世界中で起きていたさまざまな動きを、再発というものを通じて紹介しているような印象があるんですね。また、そもそも再発というものはどのような経緯で始まったのかということにも興味があります。

江村:勘違いされることも多いのではじめに断っておきたいのですが、うちは再発専門レーベルではないんです。新旧関わらずリリースをしていますし、新しい古いにこだわると見えなくなるものがたくさんあるんじゃないですかね。再発に関して言うと、もともとは人気のある音源をレコード会社がリプレスして出したのが始まりだと思いますが、日本では「リプロ(=reproduction)盤」なんて呼ばれていましたね。

Q.ビートルズの時代からすでに再発というものがあり、イギリスからはその後も「レア・グルーヴ」というムーブメントが生まれたりしましたね。

江村:イギリスの人というのは、昔から趣味でレコードを買って楽しんでいたんですよね。1950年代くらいのイギリスのオーディオ機器には良いものが多いのですが、そういうところからもよくわかりますよね。

Q.その後、正規の手順を踏まずに原盤などを録音し直したブートレグ、いわゆる海賊版も出回るようになっていきますよね。いまで言うと違法コピーに近いものかもしれないですが、その良し悪しは別にして、それが音楽文化を盛り上げる原動力の一因でもあった思います。結果的に若い人たちが昔のソウルやファンクを気軽に聴けるようになったことが、アシッドジャズなどのムーブメントが生まれてくる要因にもなりました。

江村:決してほめられたものではないですが、しかたないところもありますよね。実際にその音楽を聴く時に、1枚何万円もするレコードを探して買うのか、目の前にある得体の知れない盤を買うのかと言うと、やはりまずは聴きたいから後者を選ぶんですよね。

Q.当たり前のことですが、再発されるのはすでに過ぎ去った時代のもので、本当はいつでも振り返られるものであるのに、ある時代にはこの年代のこういう音楽が良いといったような定義がされ、また違う時代には別の音楽が再評価されたりしますよね。

江村:やっぱりブームというのがありますから。ある特定の音楽を時系列に関係なく、内容で再評価する流れというのはレア・グルーヴが作ったものだと思いますが、中古盤を漁ることがヒップだという感覚が生まれたんですよね(笑)。昔からのレコードコレクターは疑問に思うだろうけど、それがイギリスの生んだひとつの大きな価値観なんじゃないかなと。一方で、アメリカというのは自国の音楽を凄く大切にするし、レコードコレクターの文化も成熟していて、少し考え方が違う。ただ、最近は世界中がグチャグチャにミックスされていて、ひと言でこうだと言い切れないジャングルのような状況になっている。それこそアメリカの人が日本人の価値観に共感することや、イギリスのことをタイの人がカッコ良いと思うこともザラにあろうだろうし、それはある意味面白い時代と言えるのかもしれないですね。<続く>



インフォメーション

日本が世界に誇るポストパンク・バンド、サボテンの作品が2枚組LPとして、エム・レコードより6月発売予定。その他にも、ブレンダ・レイのNaffi Sandwich名義のコレクション、フィニス・アフリカエの12インチ、ノー・ライト・ターンをはじめ、年内にさまざまな作品のリリースが予定されている。詳細はエム・レコードのWebサイトにて。
6月11日発売の雑誌「アイデア」にて、16ページにわたる橋詰 宗さんの特集「デザインあの手この手ー橋詰宗とその実践」が掲載予定。

もっと知りたい人は…

  • 橋詰 宗 

    橋詰 宗

    デザイナー

    1978年広島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA) コミュニケーションアート&デザイン修士課程修了。さまざまな領域のアートディレクション、ブックデ ザイン、ウェブデザイン等を手掛ける一方、『D♥Y』『HUMAN PRACTICE』『何に着目すべきか?』『紙と束見本』『(   )も(   )も(   )も 展』など実践と着目点をコンセプトにしたワークショップ、スクールや展覧会ディレクションを手がける。

  • 江村幸紀 

    江村幸紀

    レコードレーベル・オーナー
    エム・レコード

    1970年生まれ。98年にエム・レコードを立ち上げて以来、大阪を拠点にレコードレーベルを運営。「聴いて、見て、読んで楽しむというエンターテイメントをひとつのソフトに封じ込める」ことを掲げ、作品の制作を続けている。