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長谷川踏太

クリエイティブディレクター

渡辺 明

棋士

今回インタビュアーとしてカンバセーションズに初登場するのは、イギリスを拠点にするクリエイター集団tomatoのメンバーとして世界的に名を馳せ、現在はワイデン+ケネディ東京のエグゼクティブ・クリエイティブディレクターとして、広告を中心にさまざまな分野のデザインを手がけている長谷川踏太さん。そんな長谷川さんがインタビュー相手に指名したのは、15歳でプロデビューし、弱冠20歳で将棋界のビッグタイトル・竜王位を獲得した天才棋士・渡辺明さんです。一見意外にも思える組み合わせですが、将棋界の未来を担う渡辺さんに、長谷川さんがいま聞きたいこととは果たして?

4. 競馬も理詰めでやるのですか?

渡辺 明 

各馬の力関係とかをすべて理詰めで考えているつもりです。馬の成長とか予測できない要素によって、いつの間にか力関係が逆転しちゃったりすると混乱しますね。

Q.渡辺さんはサッカーもお好きだそうですが、サッカーも将棋と似ていて、昔といまでは戦術がだいぶ違いますよね。

渡辺:ウィキペディアとかで昔のサッカーのフォーメーションとかを見ると面白いんですよ。僕はサッカーゲームとかもやるんですけど、ゲームを始める前にフォーメーションを時間をかけていじるのが好きですね(笑)。サッカーは陣形があって、決められた人数ならどう配置してもいいというところが将棋的ですよね。

Q.僕もサッカーのフォーメーションの本とかを読むのが好きなんですけど、サッカーの監督は、野球に比べると選手時代には有名じゃなかった人が活躍していることも多いですよね。サッカーの監督には、相手の出方に応じた切り替えなど柔軟性が凄く求められるし、そこも将棋と近いですよね。例えば、棋士の中には「オレはこの作戦しかやらん」みたいな人もいるんですか?

渡辺:そういう人もいますけど、基本的にはなんでもできた方がいいですよね。同じ戦法だと当然狙い打たれるし、ひとつの準備だけをしておけばいいので、相手が楽になっちゃいますよね。

Q.そのなかで、棋士それぞれの個性の出し方というのはどういうところになってくるんですか?

渡辺:現代の将棋というのは、個性が出にくくなっているところがあると思います。将棋というのは一応勝ち負けを争っていて、芸術性とかを評価されるものではないので、ダメな手ははっきりダメなんですね。当然みんな通用する手を選んでいくわけで、さらに現代のように精査の速度が早くなっているなかで技量が拮抗したプロ同士が戦うとなると、はっきりわかる個性のようなものは出にくくなっていくんですよね。

Q.渡辺さんはサッカーの他に競馬もお好きですが、これもロジックでやっているんですか?

渡辺:そうですね。各馬の力関係とかをすべて理詰めで考えているつもりです。ただ、生き物がやっているものなので把握しきれない不確定要素もかなりある。1ヶ月前にはこっちの馬が圧倒的に強かったのに、馬の成長とか予測できない要素によって、いつの間にか力関係が逆転しちゃったりすると混乱しますね。自分の中では100頭くらいの馬の力関係を把握していたつもりが、何かひとつの要素が変わることで全部狂ってしまうしまうんです。だから、僕のような思考回路で、すべて理詰めでやっていこうとする人間は、本当は競馬に向いてないんですよ(笑)。

Q.てっきり理詰めと真逆のものを欲して競馬をやっているのかと思っていました。ということは、将棋をする時にしても、神様が降りてくるような瞬間を感じたり、何かのげんを担いだりということはなさそうですね(笑)。

渡辺:あまりそういうことは考えないようにしています。僕はいま29歳なんですけど、ネットが導入されて10数年経つなかで、僕らくらいの世代がやる将棋には、理詰め感がより強まっていて、逆にげん担ぎみたいな発想は薄れてしまっているのかもしれないですね。<続く>

もっと知りたい人は…

  • 長谷川踏太 

    長谷川踏太

    クリエイティブディレクター

    1972年東京生まれ。1997年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)修士課程修了。その後、ソニー株式会社デザインセンター、ソニーCSLインタラクションラボ勤務などを経て、2000年ロンドンに本拠を置くクリエイティブ集団tomatoに所属。インタラクティブ広告から創作落語まで、そのアウトプットは多岐にわたる。2011年よりワイデン+ケネディ トウキョウのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターに就任。

  • 渡辺 明 

    渡辺 明

    棋士

    1984年東京生まれ。1994年第19回小学生名人戦で優勝し、同年6級で所司和晴七段門。2000年4月四段(史上4人目の中学生棋士)、2005年11月九段(史上最年少記録)。2004年第17期竜王戦で初タイトル獲得。2008年第21期竜王戦で5連覇。初代永世竜王の資格を得る。2011年第59期王座戦でタイトルを奪取し初の二冠に。第25期竜王戦で9連覇達成。