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萩原俊矢

ウェブデザイナー

須藤健一

国立民族学博物館 館長
文化人類学者

今回インタビュアーを務めてくれるのは、「カンバセーションズ」のサイトデザインを手がけるcookedのメンバーであり、普段はフリーランスのWebデザイナー/プログラマーとして活動している萩原俊矢さん。単独では初めてのカンバセーションズ参加となる萩原さんが、”いま話を聞きたい人”として挙げてくれたのは、大阪・国立民族学博物館(通称:みんぱく)の館長で、文化人類学者の須藤健一さん。インターネット時代における新たなリアリティの在り方に着目する「インターネット・リアリティ研究会(ICC)」にも名を連ねる萩原さんが、独自の視点で文化人類学/民族学の核心に迫ります。

4. デジタル化は進んでいますか?

須藤健一 

いま「みんぱく」には34万点の収蔵品の他に、映像や音響、書籍の膨大な資料があります。これらの情報をいかに体系化して、外からアクセスできるようにするかというのは今後の課題です。

Q.先ほど展示を見た後に、「ビデオテーク」のそばにあるタッチパネルを触らせてもらったのですが、展示内容や位置、映像資料、参考文献などのデータが詳細に記された非常に丁寧なアーカイブで衝撃を受けました。今後ネットからもこういうものを使えるようにするという構想はあるんですか?

直感的な操作で展示物情報を検索できる「イメージファインダー」。

須藤:これは2年前に作った「イメージファインダー」というものなんですが、すでにネットでも1万点の展示品の写真や場所、年代などの簡単な情報は見ることはできます。それ以上の30万点あまりのデータも内部では持っているのですが、データの精度にばらつきがあるので、今後拡充していく必要があるんですね。また、自分たちの博物館だけではなく、世界の博物館同士が持っている情報を集め、交換し、世界中の人たちがアクセスできるようなシステムを作るという構想も進めています。博物館は、モノを「所有」しているのではなく、「管理」しているだけという考え方をベースにあるのですが、ヨーロッパなどの博物館は、植民地時代に現地から強引に集めたものなどもあって、なかなか難しいところがある。そこで我々のように現地の人としっかり契約をしてモノを収集している博物館が音頭をとって、アメリカのインディアンの博物館や、アフリカの博物館などと一緒にデータを共有しながら、足りないものは現地の人たちに聞いて拡充していきましょうというプロジェクトです。

Q.世界中のバラバラな場所にあるモノを、写真や情報としてネット上に収集していくという考え方ですね。

須藤:そうですね。一般の人や研究者がそれぞれのレベルでアクセスできるクラウド型のバーチャルミュージアムを作ろうということです。ただ、言語や著作権の問題など大きな壁があるので、今後何十年かかるかわからないほどの壮大なプロジェクトですね。

Q.凄く興味のあるプロジェクトです。「みんぱく」はLANを引いた時期もかなり早かったと聞いていますが、今後もさらにデジタル化を推し進めていくのですか?

須藤:どんどん進めていきたいですし、そのための専門家も入れました。いま「みんぱく」には34万点の収蔵品の他に、映像や音響の資料が約8万点、書籍は65万冊以上あります。これらの情報をいかに体系化して、外からアクセスできるようにするかというのは今後の課題です。それができなければ、「みんぱく」が持っている情報は宝の持ち腐れになってしまうわけで、そんな税金の無駄遣いはないんです。「博情館」として、モノと情報を外に発信するということが我々に課せられた大きなミッションです。そのなかで今後は情報のコレクションということに力を入れていく必要があると考えています。<続く>

インフォメーション

12月3日まで「渋沢敬三記念事業 屋根裏部屋の博物館 Attic Museum」展が国立民族学博物館 特別展示館にて、11月26日まで「台湾平埔族の歴史と文化」展が本館 企画展示場Aにて開催中。

もっと知りたい人は…

  • 萩原俊矢 

    萩原俊矢

    ウェブデザイナー

    1984年生まれ。ウェブデザイナー。2012年、セミトランスペアレント・デザインを経てセミ・セリフを設立。ウェブデザイン、ネットアートの分野を中心に幅広く活動し、同時にデザインと編集の集団クックトゥや、flapper3としても活動している。CBCNETエディター。IDPW正式会員として第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞を受賞。

  • 須藤健一 

    須藤健一

    国立民族学博物館 館長
    文化人類学者

    新潟県佐渡市生まれ。埼玉大学教養学部卒業、75年9月に東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中退、文学博士。国立民族学博物館助手、助教授を経て、93年4月から神戸大学国際文化学部教授、同大学院国際文化学研究科教授、附属図書館長等を歴任。09年4月から国立民族学博物館館長。アジア・オセアニア地域を対象に社会人類学を専攻。主著書に『母系社会の構造』(紀伊國屋書店)、『オセアニアの人類学』(風響社)など。