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福井利佐

切り絵アーティスト

笠尾美絵

オーダースウィーツ「SWEETCH」主宰

今回インタビュアーを務めてくれるのは、現代的なモチーフやグラフィカルな構図による作品で、既存の切り絵の概念を覆す多岐に渡る活動を展開している福井利佐さん。そんな福井さんがインタビューするのは、オーダースウィーツ、ケータリング、ワークショップ、インスタレーションなどを手がける「SWEETCH」の主宰・笠尾美絵さん。福井さんの個展や雑誌の撮影用に笠尾さんのスウィーツが使われたり、笠尾さんのワークショップに福井さんが親子で参加したりと、すでに交流があるおふたりの間で、はたしてどんな会話が交わされるのでしょうか?

3. お菓子作りの肝は何ですか?

笠尾美絵 

一番センスがわかるのは、気がきかせられるか、先を見て仕事ができるかというところだったりするんです。

Q.笠尾さんの作品を見ていると、どんなものでも作れてしまいそうに見えるんですけど、対応できないオーダーというのもあるんですか?

笠尾:商標登録のあるキャラクターものは作れないんですよ。あと、壊れやすいものとかも難しいですし、「完全にお任せで」とか「とにかく可愛く」といったオーダーは、お客さんの好みがあるので、詳しく伝えて頂きたいですね(笑)。

小南泰葉「Chimera」ジャケットアートワーク 水道橋博士「藝人春秋」表紙絵

Q.私もオーダーをされる仕事があるんですが、私のような作風だと、それを知った上でオーダーしてくれることが多いので、幸い自分のテイストを入れられるものがほとんどなんです。たまには、それが難しいケースもあるけど、それでもうるさくならない程度には自分のテイストを残すようにしているし、良い意味で相手を裏切りたいという気持ちが強いんです。笠尾さんの場合はいかがですか?

笠尾:やっぱり自分のテイストに近くないオーダーもたまにはあって、それをいかに納得できる形に落としこんでいくかというのはいつも難しいですね。でも、私も基本的にはどんな依頼でも想像以上のものを作って、相手を驚かせたいという思いがありますね。

Q.お菓子作りに必要なセンスや能力というのはどんなものだと思いますか?

笠尾:私は、学生の子たちに手伝ってもらうこともあるんですが、一番センスがわかるのは、気がきかせられるか、先を見て仕事ができるかというところだったりするんです。結局、段取りなどの仕事の仕方や技術的な部分というのは、後々ついてくるんですね。だから、最初のうちにそういった能力を身につけることができないと、後々厳しかったりするんですよね。

Q.料理が得意な人たちを見ていて感じるのは、”段取り力”が凄いということです。

笠尾:私の場合は、ホテルの厨房時代にそれを培ったところはありますね。チームで動かないといけないので、いま先輩は何がほしいのか、次に何を作るかを考えないといけないし、逆に上の立場だったら、下の子をどう使うかを考える。私のところで働いてくれる子たちにいつも最初に伝えるのは、いまお話したような気の使い方や仕事のやり方を早く吸収しないと置いていかれてしまうということなんです。私は色々回り道をして、10年経ってようやく独立できるようになったんですけど、いまはこれだけたくさん情報もあるし、それでは少し遅いのかなという気もします。これからお菓子作りに進む人には、私が10年かかってやってきたことを、がんばって凝縮した仕事の仕方をすることで早く習得してもらいたいですね。そうすれば、その分他の修行もできますからね。最近はお菓子好きの人たちが、アパレルやデザインなど違う業界から参入してくることも多いですし、下積みがどれくらいあるかということは関係なくなってきているんですよね。

Q.でも、やっぱり笠尾さんの10年は無駄じゃないと思うんですよ。そういう経験がないと本物にはなれないですよね。特に最近は、デザインは良くても美味しくないものも多いし、その点笠尾さんはデザインも良いし、味もとても美味しい。

笠尾:味の部分は絶対ですよね。たしかに最近は味よりデザイン性が求められるようなものも多いですが、両立したものを作りたいと思っています。<続く>

インフォメーション

4月21日に自由が丘・IDEE SHOPにて開催される「IDEE MARKET」(11時~日没/雨天中止)に笠尾さんが参加し、焼菓子等を販売予定。
福井さんが毎年メインビジュアルを制作している宝生流宗家による能楽公演「宝生流和の会『体感する能ー葵の上ー』」が6月29日に開催。さらに、8月中旬からは銀座・POLA MUSEUM ANNEXにて、東京では2年ぶりとなる個展を開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 福井利佐 

    福井利佐

    切り絵アーティスト

    切り絵アーティスト。1975年静岡県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。大学の卒業制作として制作した「個人的識別シリーズ」がJACA日本ビジュアルアート展特別賞を受賞。主な仕事は、Reebokとのコラボレーションスニーカー、アーティスト中島美嘉のジャケット・ステージ装飾、「手塚治虫×福井利佐byUNIQLO」でのTシャツデザイン、桐野夏生氏の小説への挿画、「婦人画報」表紙へ切り絵での参加など。著書に、「KI RI GA」「たらちね Tarachine 切り絵原画集~映像 作品『たらちね』の舞台裏~」がある。

  • 笠尾美絵 

    笠尾美絵

    オーダースウィーツ「SWEETCH」主宰

    SWEETCH主宰。1974年生まれ。栄養士の短大卒業後、仙台市内のホテル、東京都内のレストラン、ケーキ店、IDEEのレストランなどにて、パティシエとして様々なスウィーツに携わる。IDEE退社後、数ヶ月間のヨーロッパ放浪の後、2005年にSWEETCHを立ち上げ、IID(世田谷ものづくり学校)内にアトリエを構えて活動を開始。2006年にアトリエを広尾に移し、現在に至る。