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福井利佐

切り絵アーティスト

笠尾美絵

オーダースウィーツ「SWEETCH」主宰

今回インタビュアーを務めてくれるのは、現代的なモチーフやグラフィカルな構図による作品で、既存の切り絵の概念を覆す多岐に渡る活動を展開している福井利佐さん。そんな福井さんがインタビューするのは、オーダースウィーツ、ケータリング、ワークショップ、インスタレーションなどを手がける「SWEETCH」の主宰・笠尾美絵さん。福井さんの個展や雑誌の撮影用に笠尾さんのスウィーツが使われたり、笠尾さんのワークショップに福井さんが親子で参加したりと、すでに交流があるおふたりの間で、はたしてどんな会話が交わされるのでしょうか?

1. なぜオーダースウィーツを始めたのですか?

笠尾美絵 

私の原点であるお客さんの笑顔が見られるということを最初から最後までできるというのが、自分に合っている気がしたんです。

Q.笠尾さんがお菓子作りに目覚めたのはいつ頃なんですか?

笠尾:母親が家庭科の先生で、おままごとの代わりのようにマドレーヌやクッキーを一緒に作るようになったのがきっかけです。中学生になってからは作るのをやめてしまったんですけど、子どもの頃の体験もあったせいで、将来は食の世界に進もうかなと考え高校卒業後は栄養士の短大に入りましたが、自分に一番合っていて楽しみながらできる仕事はお菓子作りかなと思ったんです。お菓子を作って友達なんかにあげると凄く喜んでくれるのですが、その笑顔を見るのが私にとっては大きな喜びだったし、みんなに必要とされているというか、自分の存在を確認できるようなところが昔からあって、それが私の原点としてあるんです。

Q.就職はどうされたのですか?

笠尾:お菓子といっても色々な仕事があるのですが、まずはデザートもケーキも作れるホテルに入ろうと思い、仙台のホテルで4年ほど働きました。そこは小さなホテルだったこともあり、ひと通りの仕事をまんべんなくやらせてもらうことができました。ある時、東京から来たシェフの講習会で助手をやらせてもらったことがあったのですが、その方に色々相談に乗ってもらいながら、24歳の時に上京し、ホテルやレストラン・ケーキ店で働きました。パティシエや飲食業の人は、ある程度覚えたら次のステップという感じで、職場を変えていくことが多いんです。その後、将来を悩んでいた時に、IDEEで働いていた友人から、新しいカフェができるということで誘われ、そこで働くことになりました。

Q.それまで身を置いていたホテルなどとはだいぶ環境が違いそうですね。

笠尾:そうですね。当時は色んなことを考えていた時期で、ちょっと息抜きじゃないですが、まずはやってみようと思ったんです。やはりそれまでの職場とは考え方や発想が全然違い、それまでやってきたことが良い意味で通用しないところがあって、もっと自分で考えないといけないと思うようになりました。それまでは、自分が作りたいと思うケーキが全然できなくて、何回試作をしてもピンと来るものがまったく作れなかったんですけど、IDEEに入ってから考え方が変わり、ようやく自分の好きなテイストのものが作れるようになっていった気がします。

福井さんの個展時に笠尾さんがつくったおみやげのクッキー。

Q.具体的には何が大きな違いだったのですか?

笠尾:例えば、お菓子のデザインにしても、普通季節に合わせて考えることが多いのですが、IDEEでは、例えばファッションをテーマに考えたりする必要があったんです。また、普段のメニュー以外にもスタッフの誕生日などにオリジナルケーキを作ったり、イベントがある時にはパーティのテーマに合わせたものを作ったりするようになりました。普段キッチンの中にいると直接お客さんと接する機会はなくて、ホールスタッフから美味しいと言っていたということを伝え聞くくらいで、お客さんの反応を間近に感じることができなかったんですね。そこで、どうすればお客さんと対話が出来るようになるのかを考えるようになったのですが、オーダースウィーツなら最初から相手とやり取りをして、お渡しまで自分でできると思い、SWEETCHを立ち上げることになりました。私の原点であるお客さんの笑顔が見られるということを最初から最後までできるというのが、自分に合っている気がしたんです。<続く>

インフォメーション

4月21日に自由が丘・IDEE SHOPにて開催される「IDEE MARKET」(11時~日没/雨天中止)に笠尾さんが参加し、焼菓子等を販売予定。
福井さんが毎年メインビジュアルを制作している宝生流宗家による能楽公演「宝生流和の会『体感する能ー葵の上ー』」が6月29日に開催。さらに、8月中旬からは銀座・POLA MUSEUM ANNEXにて、東京では2年ぶりとなる個展を開催予定。

もっと知りたい人は…

  • 福井利佐 

    福井利佐

    切り絵アーティスト

    切り絵アーティスト。1975年静岡県出身。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。大学の卒業制作として制作した「個人的識別シリーズ」がJACA日本ビジュアルアート展特別賞を受賞。主な仕事は、Reebokとのコラボレーションスニーカー、アーティスト中島美嘉のジャケット・ステージ装飾、「手塚治虫×福井利佐byUNIQLO」でのTシャツデザイン、桐野夏生氏の小説への挿画、「婦人画報」表紙へ切り絵での参加など。著書に、「KI RI GA」「たらちね Tarachine 切り絵原画集~映像 作品『たらちね』の舞台裏~」がある。

  • 笠尾美絵 

    笠尾美絵

    オーダースウィーツ「SWEETCH」主宰

    SWEETCH主宰。1974年生まれ。栄養士の短大卒業後、仙台市内のホテル、東京都内のレストラン、ケーキ店、IDEEのレストランなどにて、パティシエとして様々なスウィーツに携わる。IDEE退社後、数ヶ月間のヨーロッパ放浪の後、2005年にSWEETCHを立ち上げ、IID(世田谷ものづくり学校)内にアトリエを構えて活動を開始。2006年にアトリエを広尾に移し、現在に至る。