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西 翼

山口情報芸術センター[YCAM]アシスタントキュレーター

河口 隆

アワセルブス 代表取締役

インタビュアーを担当する西 翼さんは、2012年よりYCAMのさまざまな展示や研究開発プログラムなどを手がけてきたキュレーター。その西さんが今回インタビューするのは、メディアテクノロジーを用いた新しいスポーツの創作を目指すイベントとして、今年の12月にYCAMで開催される「スポーツハッカソン」で協働している「アワセルブス」の代表・河口隆さんです。2013年にYCAM10周年記念事業の公募作品として開発された「スポーツタイムマシン」に関わるなど以前からYCAMとの接点を持ち、先日「アワセルブス」が位置する山口市中心商店街の一角に本格オープンしたファブラボ山口の運営も手がける河口さんに、西さんがいま話を聞きたいこととは?

4. なぜ「巻き込まれたがり」なんですか?

河口 隆 

自分の意志とは関係なく人生が転がっていくといいなと思っているんです。私は、いち早く巻き込まれつつ、他の巻き込まれたがりを巻き込んでいくというスタンスなんです。

Q.いま河口さんとは、冬にYCAMで開催するイベント「スポーツ・ハッカソン」に向けて、犬飼(博士)さんや、山口の人たちと打ち合わせを重ねていますよね。我々としては地元の人たちに積極的に参加してもらえるような空気をつくっていこうと意識しているのですが、何の躊躇もせずについてきてくれる河口さんはある意味凄いなと(笑)。

河口:元来私は巻き込まれたがりで、自分の意志とは関係なく人生が転がっていくといいなと思っているんです。何か新しいプロジェクトを起こそうとした時には、犬飼さんのような言い出しっぺ的な存在が絶対に必要で、そうなれる人というのはそんなに多くないんですよね。そういう人に巻き込まれたがっている人、もしくは巻き込まれる準備ができている人というのが世の中には一定数いて、何か面白そうなことがあったら顔を出したいと考えている人たちのことは、顔を見ればわかります。私自身は、巻き込んでいく人と巻き込まれたがりの人のちょうど間にいて、いち早く巻き込まれつつ、他の巻き込まれたがりを巻き込んでいくというスタンスなんです。

「どうぶつとダッシュ!」企画・制作 宇部市公園整備局 動物園リニューアル推進室/株式会社アワセルブス 「地下鉄の天使」Design by 河口隆(アワセルブス) International Space Apps Challenge Yamaguchi

Q.巻き込まれたがっている人たちは何を求めているのでしょうか?

河口:まずは、自分が持っている能力を生かしたいという思いがあるのだと思います。また、チームプレイで何かをするということに満足感を得たいという人も多いのかもしれません。複数の人たちと何かひとつのことに取り組む機会というのは、意外と普段の生活の中では少ないかもしれない。だからこそ、会社などから与えられる仕事とは違い、能動的にコミットできるプロジェクトを求めている人というのも少なくないのかなと。頼られることもまんざらではないという巻き込まれたがりの人たちに何かをお願いすると、物事が円滑に運びやすいんです。そういう人たちがもっと増えていけばいいと思っているのですが、そのためには、人生を左右しない程度の軽い巻き込み事故がたくさん起きるような状況が必要で、巻き込まれた側が「まんざら悪い気もしなかったな」と感じるような、軽い成功体験が得られる機会が増えるといいのかなと思います。

Q.現在、河口さんとは、新しいスポーツをつくるというテーマのもと、GPS機能などを使って、ある場所からある場所へとボールを運んでいくサッカーの原型のようなスポーツのアイデアを出し合っていますが、こうしたやりとりが個人的にとても面白いんですね。YCAMというものが、地域の人たちとともにそういうものをつくる場になり得るんだということが実感できるし、今後こうした機会や関係を築ける人たちが増えていくといいなと。これまでYCAMは、世界に向けて発信していくことに注力してきた面もあったと思うのですが、今後地域の中でさまざまなところにジワジワとYCAMの存在が広がっていったら面白いし、そうなった時に常に巻き込まれてくれる河口さんのような存在は非常に心強いです(笑)。

河口:山口を外から見た時に、YCAMの存在感や影響力というものは非常に大きいと思うんですね。一事業者として、地元ばかりを見て仕事をしているのはつまらないし、少し嫌らしい言い方かもしれませんが、YCAMと何かをしているということで、外から面白い存在として見られるところがあるし、実際に面白いことができている。各地からYCAMに色々な人たちが集まり、循環していることは素晴らしいことだし、同時に、東京では壇上の存在のようなアーティストたちが来ても、山口市民たちはそれをよくわからずに普通に関わっている状況は面白いですよね(笑)。今後は、YCAMという存在を良い意味で利用するような山口の事業者や市民がどんどん出てくるといいと思うし、YCAMの存在は抜きにしても、外に対してアプローチしていく意識というのはとても大事だなと思っています。<インタビュー終わり>

インフォメーション

アスリートとプログラマーなどがコラボレーションすることで生まれる新しいスポーツを開発する『スポーツハッカソン』が、12月11日から13日まで山口情報芸術センター[YCAM] スタジオAで開催。
アワセルブズが運営するFabLab Yamaguchi β オープンラボが開催中(予約不要/利用無料)。オープン時間は、月曜9:00~12:30、金・日曜11:00~18:00、第1火曜17:30~21:00。お問い合わせは、fablabyamaguchi@gmail.comまで。

もっと知りたい人は…

  • 西 翼 

    西 翼

    山口情報芸術センター[YCAM]アシスタントキュレーター

    キュレーター。1983年生まれ。和歌山県出身。多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程芸術学専攻修了。2012年から山口情報芸術センター[YCAM]で勤務。YCAMでは、池田亮司「supersymmetry」(2014年)をはじめとする展覧会企画を中心に、「Reactor for Awareness in Motion」などの研究開発プロジェクト、それらに付随する普及プログラムなどを担当している。

  • 河口 隆 

    河口 隆

    アワセルブス 代表取締役

    1976年大寒生まれ。倉庫番、中学校講師、営業職、SEなどを経て2011年冬に独立。業務提案からITトレンドまで、広く浅い知識でカバーするゼネラリスト志向エンジニア。2013年夏、YCAM10周年企画「LIFE by MEDIA」で、犬飼博士+安藤僚子と制作した『スポーツタイムマシン』が、第17回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞。2015年春、山口市米屋町商店街に「FabLab Yamaguchi β」を設立。好きなパンダはレッサー。