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西 翼

山口情報芸術センター[YCAM]アシスタントキュレーター

河口 隆

アワセルブス 代表取締役

インタビュアーを担当する西 翼さんは、2012年よりYCAMのさまざまな展示や研究開発プログラムなどを手がけてきたキュレーター。その西さんが今回インタビューするのは、メディアテクノロジーを用いた新しいスポーツの創作を目指すイベントとして、今年の12月にYCAMで開催される「スポーツハッカソン」で協働している「アワセルブス」の代表・河口隆さんです。2013年にYCAM10周年記念事業の公募作品として開発された「スポーツタイムマシン」に関わるなど以前からYCAMとの接点を持ち、先日「アワセルブス」が位置する山口市中心商店街の一角に本格オープンしたファブラボ山口の運営も手がける河口さんに、西さんがいま話を聞きたいこととは?

3. どうしてファブラボ山口は生まれたのですか?

河口 隆 

デジタルファブリケーションが発展していくことによって、産業の構造自体が変わってしまう瞬間に立ち会えるかもしれないという期待感があり、そこにはぜひ乗っかりたいと。

Q.河口さんの会社「アワセルブス」が運営するファブラボ山口が、今年から本格オープンとなりますが、これはどういうきっかけでスタートしたプロジェクトだったのですか?

河口:見たことがないものを見たいという思いが強い私にとって、ファブラボに代表されるメイカーズムーブメントというのは非常に興味があったんですね。これから3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーションが発展していくことによって、これまでの産業の構造自体が変わってしまう瞬間に立ち会えるかもしれないという期待感があり、そこにはぜひ乗っかりたいと。ファブラボ山口は、山口市がファブラボ鎌倉に依頼をしたところからスタートしているのですが、市を介してファブラボ鎌倉の渡辺ゆうかさんとお会いした時に、これはやるしかないと思いました。個人で仕事をするようになって3年くらいが経ち、そろそろこの働き方にも飽きていたということもあったのですが、ちょうどその頃にオフィスをシェアしているパートナー企業の「101DESIGN」の代表から法人化の勧めを受け、「アワセルブス」を会社にしていたんですね。それが結果的には良いタイミングとなり、ファブラボ山口のプロジェクトを事業者として受けることができ、良いスタッフたちとも巡り合うことができました。

Q.商店街の中という特殊な立地ですが、今後どんな人たちが関わってくれそうですか?

河口:昨年、ファブラボを試験的に2ヶ月オープンした時には、製造業の仕事をしていて、自分自身でもものづくりをしてみたいと思っている方や、実際に革細工などをしている方、Raspberry Piなど電子工作に興味ある方たちが利用してくれました。ただ、利用者からお金をいただくモデルでは継続は難しいと考えているので、企業などが自社製品の開発や研究のために使う場としても機能すると良いなと。一から製品の開発などをしようとすると、機材やそれを使える人材を揃える必要があり、非常にコストがかかりますが、幸いここにはすでにそうした環境が揃っているので、この場を使って企業に新しいものづくりにトライして頂けるといいなと思っています。ゆくゆくは、ここを起点に山口からデジタルファブリケーションによるビジネスを軌道に乗せる会社が出てくるということが、事業者としての目標ですね。

Q.実際にファブラボに関わる人たちで、この空間をリノベーションをするという試みをされるようですね。

河口:ちょうど明日(取材時)からリノベーションワークショップを始める予定です。ここは以前に薬局だった場所をそのままの状態で使っているのですが、歩くだけで真っ白になったり、トイレが怖いと言われたり、非常に不評なんです(笑)。もちろん、最初からきれいにリノベーションしてオープンするという選択肢もあったのですが、それでは面白くないし、もともとファブラボは、必要なものは何でも自分たちでつくるということがコンセプトなので、空間自体も利用者のみなさんと一緒につくろうと。考え方は非常にファブラボ的だと思いますし、ファブラボ山口は基本的にボトムアップ式に物事を進める方向で、私は何も言わずに成り行きを見守るというスタンスにしたいんです(笑)。そうすることによってスタッフさんが困っているのですが(笑)、自分も含め、何でも与えられることに慣れていて自発的に動くことが得意ではない人が多い気がしています。それなら、自ら動かざるを得ない状況をつくり、欲しいものは自分たちで手に入れるという体験をしていくのがいいんじゃないかなと。私自身、どうなるかわからない状況を楽しみたいし、ぜひ想像できないような斜め上の方向に行ってほしいですね(笑)。

インフォメーション

アスリートとプログラマーなどがコラボレーションすることで生まれる新しいスポーツを開発する『スポーツハッカソン』が、12月11日から13日まで山口情報芸術センター[YCAM] スタジオAで開催。
アワセルブズが運営するFabLab Yamaguchi β オープンラボが開催中(予約不要/利用無料)。オープン時間は、月曜9:00~12:30、金・日曜11:00~18:00、第1火曜17:30~21:00。お問い合わせは、fablabyamaguchi@gmail.comまで。

もっと知りたい人は…

  • 西 翼 

    西 翼

    山口情報芸術センター[YCAM]アシスタントキュレーター

    キュレーター。1983年生まれ。和歌山県出身。多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程芸術学専攻修了。2012年から山口情報芸術センター[YCAM]で勤務。YCAMでは、池田亮司「supersymmetry」(2014年)をはじめとする展覧会企画を中心に、「Reactor for Awareness in Motion」などの研究開発プロジェクト、それらに付随する普及プログラムなどを担当している。

  • 河口 隆 

    河口 隆

    アワセルブス 代表取締役

    1976年大寒生まれ。倉庫番、中学校講師、営業職、SEなどを経て2011年冬に独立。業務提案からITトレンドまで、広く浅い知識でカバーするゼネラリスト志向エンジニア。2013年夏、YCAM10周年企画「LIFE by MEDIA」で、犬飼博士+安藤僚子と制作した『スポーツタイムマシン』が、第17回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門優秀賞を受賞。2015年春、山口市米屋町商店街に「FabLab Yamaguchi β」を設立。好きなパンダはレッサー。