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行友 光

ハンドメイドルアー製作

今回インタビュアーになってくれるのは、カンバセーションズのアートディレクションとWebデザインを手がけてくれたcookedの3人。”新鮮な役立たず”をテーマに、Web、映像、書籍などさまざまな分野でユニークな活動をしている幸前チョロくん、萩原俊矢くん、横田泰斗くんの3人が話し合いの末に”話を聞きたい人”として挙げてくれたのは、岡山を拠点にハンドメイドルアーを製作している六度九分行友 光さん。cookedとは活動内容も拠点も大きく異なる行友さんに、同世代の作り手として彼らが聞きたいこととは? カンバセーションズが10月半ばに敢行した岡山出張取材の発端となったインタビューをお届けします。

岡山出張取材でのインタビュー記事などをまとめた特設サイト「QONVERSATIONS TRIP OKAYAMA」がオープン。インタビューに加えて、公開取材イベントのアーカイブ映像や、岡山のさまざまなおすすめなどコンテンツ満載です。ぜひこちらからご覧ください!

3. ルアー作りの醍醐味って何ですか?

行友 光 

釣れるルアーというのは常に相対的な判断基準しかない。絶対的なものはないわけだから、今度はいかに釣り人のイメージを膨らませられるかが大事になってくる。そういう部分がルアーを作る楽しさのひとつなんですよね。

Q.行友さんが考える釣りの魅力を教えてください。

行友:一番説明に困る質問ですね(笑)。例えば、魚の引きの強さとか、魚との知恵比べが面白いとかよく言いますけど、外れてはいないけど言い当てているような気もしなくて、むず痒い感じがするんですよね(笑)。釣りをやっていて思うのは、釣りには文脈の異なる色んな要素が含まれていて、それが同時に共鳴する瞬間というのがあるということなんです。例えば、魚がかかった瞬間に、その魚にたどり着くまでの道のりがフラッシュバックするといいますか。それを言葉で断片的に伝えようとするから、どうもうまく伝わらない。それは音楽の良さを伝える時と似ていると思うんです。僕は高校の頃からずっと音楽が大好きなんですけど、好きな音楽を説明する時に、歌詞の世界観が良いとかメロディが良いと表現しても、伝えられている気がしないんですよね。それは音楽というものが多面的で、同時に色んなものが共鳴しているからで、それは釣りの面白さとも通じるのかなと。僕の好きな分子生物学者の福岡伸一先生が「世界は分けてもわからない」という本を書いているのですが、細かく分節していっても伝わらないものって確かにあると思います。

Q.では、ルアー作りの醍醐味はどんなところに感じているのですか?

行友:ルアーというのは、魚を釣るという明確な目的がある道具だから、作りやすいと言えば作りやすいものなんですね。その目的には、形や重さなどを何度も変えたりして検証していくことで、いつかはたどり着けるはずなんですね。でも、ルアーを眺めて見た目を愉しんだりする要素も同時にあると思うんです。長年釣りをしている人たちに特に顕著なんですが、ただ釣れるだけのルアーが常に求められているわけではないんです。つまり、出発点には明確な目的があったのに、いつのまにか求められるものが複合的になってしまうんですね。そうなってくると、ルアーって何だろう? って考えますよね。ルアーの相手になる自然というのは刻々と状況が変わっていて、同じ状況にとどまることはありません。ということは、釣れるルアーというのも常に相対的な判断基準しかないんですよ。そこに絶対的なものはないわけだから、今度はいかに釣り人のイメージを膨らませられるかということが大事になってくる。そういう部分がルアーを作る楽しさのひとつなんですよね。

Q.話を聞いていて、僕らがやっているデザインとの共通点も多いように感じました。ルアー作りにもデザインにもまず達成しないといけない目的というものがある。でも、目的達成だけを目指してしまうスゴく原理的なものになりかねないですよね。だから僕らは、「役に立たない」ということを重視しているんですね。”役に立たなさ”をいかに面白く伝えられるかを考えつつ、結果的にそれが目的にも適っているように見える状況というのを作っていきたいんです。だから、釣れるという目的以外の部分を大切にしていかないと釣り人のテンションが上がらないという話にはスゴく共感できました。

行友:なんでもそうだと思うんですけど、すべての答えを用意してしまうと面白くないんですよね。ガイドに連れられて、お膳立てされた状況で魚を釣っても、「釣らせてもらった」というような微妙な違和感を覚える人は多い。ただ釣るということが釣りの楽しみではないということですよね。そういう意味で釣りというのは、色んな方向から楽しめるものだと思うんです。例えば、大会のようにルールを作って楽しむこともできるし、そんなの関係なく昼夜問わず釣りに行くという楽しみ方もできる遊びなんだと思います。<続く>

もっと知りたい人は…

  • cooked 

    cooked

    “新鮮な役たたず”をテーマに、ウェブ・映像・書籍などの制作と配布をする幸前チョロ、萩原俊矢、横田泰斗の3人組。世の中に既にあるテキストや画像、アルゴリズムなど、どんなものでも素材として、メンバーの手仕事によって調理(cook)する編集とデザインの間のような活動をしている。「カンバセーションズ」のアートディレクション&Webデザイン担当。

  • 行友 光 

    行友 光

    ハンドメイドルアー製作

    2004年から六度九分という屋号でルアー作りをはじめる。2012年2月に表参道のギャラリー同潤会で個展を開く。