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有馬トモユキ

グラフィックデザイナー

長谷敏司

小説家

今回カンバセーションズに初登場するのは、グラフィックデザイナーとして、広告からアニメ、ゲーム、音楽関連のデザインまで幅広く活動している有馬トモユキさん。その有馬さんがインタビューするのは、『円環少女』『あなたのための物語』『BEATLESS』などの作品で知られ、今年に入り、ゲーム「メタルギアソリッド3」のノベライズ作品『メタルギア ソリッド スネークイーター』を上梓した小説家・長谷敏司です。SF小説の装丁なども数多く手がけてきた有馬さんが、長谷敏司さんにいま聞きたいこととは?

2. なぜ色々なメディアと関わるのですか?

長谷敏司 

小説自体がメディア化するものであったり、他のメディアで生まれたものをSFやSF小説の方に引っ張って新しい環境を作っていくということが、いまらしい仕事の仕方なんじゃないかなと。

Q.先日、「メタルギアソリッド」のノベライズ作品を出されましたが、このようなゲームのノベライズはかなりハードルが高そうですね。

長谷:ノノベライズに適した文章技術というものがおそらくあるのですが、あいにく僕にはそれが弱かったのでかなり難航しました(笑)。ゲームであることより、「メタルギアソリッド3」というタイトルの物語の作り方が、難しく面白いところでした。「メタルギアソリッド」の小島秀夫監督は、物語を柱から作っていく方なんですね。人間ドラマという柱を作り、そこから枝葉のように世界を広げていくのですが、その時々の社会状況などを取り込みながら、常に新しいものを提示してきています。ゲームとしてプレイヤーを操作して進めてゆく流れも、ドラマの要素になっている。ドラマの世界をしっかり骨格から作っているからこそ、25年間も継続できているのだと思うし、ドラマは柱から作るのが王道です。一方でSFというのは面白くて、柱ではなく壁で建築を作っていくところがあるんですね。極端な話、柱のことは考えずに壁だけで情報を構築しながら一冊の小説を書き切ることもできるし、柱の存在そのものに疑問を投げられる。それはSFというものが作ってきたひとつのデザインの形であり、構築してきた物語の形なんです。そういう点でSFというのは、他の小説の分野などに比べてデザイン性が高いものだと思います。

Q.代表作のひとつ『BEATLESS』なども象徴的だと思いますが、長谷さんの特徴として、他のメディアとの密接な関係性というものがあります。当たり前のことですが、小説家というのは文章で突き進んでいくような仕事ですが、長谷さんの場合は、他のメディアと連携していくことが前提になっているプロジェクトが増えているような気がします。

長谷:僕がSF作家として何をしていこうかということを考えていた時期に最も参考にしたのは、60年代~80年代のSF小説だったんですね。SF作家とはどういう仕事なのかを自分なりに考えておかないと怖かった。とはいえ、いまこの時代に小説を書くということは、色々なメディアとより密接に関わっていくことなんじゃないかと考えています。例えば、小説自体がメディア化するものであったり、他のメディアと一緒に物語を作っていったり、あるいは他のメディアで生まれたものをSFやSF小説の方に引っ張って、面白いものがあると期待してくれている読者と楽しんでいける新しい環境を作っていくということが、いまらしい仕事の仕方なんじゃないかなと。

長谷敏司『メタルギア ソリッド スネークイーター』(2014)、『BEATLESS』(2012)

Q.長谷さんはいまなりのやり方というものを非常に意識されていますよね。

長谷:自分の仕事がなぜいま必要なのかということを考える時に、そもそもの要求はどこから出てきているのかということを意識した上で、自分が求められた仕事のなかでいかに答えを出していけるかということが大切だと思っています。要は、自分の仕事が求められる要因になっているものに対して、いかに正確にアプローチしていけるか、接近していけるかということなんじゃないかなと。<続く>

インフォメーション

『あなたのための物語』『BEATLESS』のスピンオフ短篇ほか4篇を収録する長谷さん初の作品集『My Humanity』 がハヤカワ書房JAより2月21日刊行予定。

もっと知りたい人は…

  • 有馬トモユキ 

    有馬トモユキ

    グラフィックデザイナー

    1985年長崎生まれ。複数社を経て、日本デザインセンターにてWeb、UIの領域で従事する傍ら、TATSDESIGN名義でグラフィックデザインを中心に商業コンテンツ作品とそのプロモーションに関する活動を行う。2011年よりクリエイティブグループGEOGRAPHICディレクター。2012年より朗文堂・新宿私塾講師。

  • 長谷敏司 

    長谷敏司

    小説家

    1974年大阪生まれ。関西大学卒業。2001年、第六回角川スニーカー大賞金賞受賞作『戦略拠点32098 楽園』でデビュー。『あなたのための物語』『BEATLESS』が、第30回、第32回SF大賞最終候補となる。ほか『円環少女』シリーズ(全13巻)、『メタルギアソリッド スネークイーター』他の著作がある。