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1048

ゲームプレイヤー

梅沢和木

美術作家

今回お届けする記事は、「カンバセーションズ」初の試みとなる「聞く側」「聞かれる側」の立場を入れ替えた”リバース”インタビュー。前回話題を集めたアーティスト・梅沢和木さんから、カリスマゲーマー・1048さんへのインタビューから一転、今回は「ゲーム」という観点を軸に、1048さんが梅沢さんの創作活動の秘密に迫ります。

2. なぜ画像をなぞり始めたのですか?

梅沢和木 

キャラクターなど二次元の世界のものと一体化できるんじゃないかという錯覚のもとになされているんですが、言い換えるとそれは、画像を体験すること、画像をプレイすることなんですよね。

Q.ネットをやり始めてからすぐに画像を収集するようになったんですか?

梅沢:いや、それよりも先にまずゲームをやるようになりました。WINDOWS上でクリックをして遊ぶものとか、当時ネット上にはコアでマニアックなフリーゲームというのがたくさんあって、それをダウンロードしてコツコツやっていましたね。もちろん、「ドラクエ」や「FF」とか正統派のゲームもやっていたけど、フリーゲームの方が自分で見つけた感覚があって、その体験がいまの自分を形成している部分もあると思います。自分の中ではアンディー・メンテジスカルドさんとステッパーズ・ストップのポーンさんがフリーゲーム界の二大巨頭で、普段働いている仕事の傍らで自分たちが本当に作りたいゲームを作っていて、そのほとばしる表現に共感できるところもありました。呼吸するように大量に作っていたのも印象的でした。

Q.僕は、2009年にFrantic Galleryで開催された個展「エターナルフォース画像コア」についてのネット上の動画インタビューで梅ラボの存在を知って、展示を見に行ったんです。その動画では、キャラクターなどネット上の画像を出力してなぞり始めたことが作品作りの原点だと話していたけど、それをゲーム的な見地から考えると、用意された譜面に対して、自分の身体をもって鍵盤を叩くという「ビートマニア」の行為とリンクするんじゃないかと感じたんです。

梅沢:リンクするどころか、完全にその通りですね。画像を配置してなぞるという行為は、キャラクターなど二次元の世界のものと一体化できるんじゃないかという錯覚のもとになされているんですが、いまの1048さんの言葉を受けて言い換えるなら、それは画像を体験すること、画像をプレイすることなんですよね。ものを作る人間なら多くがそうだと思いますが、僕は良い作品を見たり、素晴らしいものに触れると、この感動や体験を自分はどうしたらいいんだと、焦燥感や嫉妬のようなものを覚えるんです。特に自分のルーツでもあるフリーゲームなどをしている時にそういう体験をすることが多かったんですが、じゃあそこで自分は何をしたらいいんだというところから、画像をなぞるという行為につながっていったんだと思います。

Photo:越間有紀子

Q.鑑賞者側の観点からも、人によって見える譜面というのが変わってくる「ビーマニ」と似ていて、観る人それぞれが梅ラボの作品から自分自身の譜面を見つけてプレイするという構造があると思えたんです。鑑賞者がバーコードの読み取り機のようになって、自分に適当なものを作品の中から読み取っていくというプレイングが成立しているんじゃないかと。

梅沢:鑑賞=プレイングというのもまさにそうですね。もともとゲームというのは永遠にループできる没入体験装置だと思っていて、コアなプレイ体験をしようとするプレイヤーに対して凄く準備がされているんですよね。対照的に、アートというのはコアな鑑賞体験をしたいユーザーに対して開かれていない。特に「ビーマニ」というのは、やり込めばやり込むほど没入できて、その陶酔感や見えてくる世界というのが凄いんですよね。僕としては、そんな「ビーマニ」くらいのプレイングが、絵画の鑑賞でもできるといいなと思っているんですけど、それはなかなか難しいことで。でも、凝集された自分のアイデンティティによって、まったく異なる人たちが感動できる表現というものが本来のアートだと思うんですね。そういう意味では、ゲームやアニメを知らない人が僕の作品に感動してくれると、良いプレイングをしてもらえたなと感じるんです。<続く>

インフォメーション

梅沢さんも参加する六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展「LOVE展」が4月26日〜9月1日まで森美術館で開催中。

もっと知りたい人は…

  • 1048 

    1048

    ゲームプレイヤー

    1985年生まれ。埼玉出身。早稲田大学第一文学部美術史学科卒業。原宿のファッションビル管理を3年間勤めた後、起業。 WAKKA Inc.取締役。主なゲームタイトルや実績に、Beatmania IIDX 第1回トップランカー決定戦準優勝、SOUND VOLTEX KONAMI Arcade Championship 2012 関東2位、 Power Smash 3 世界ランク1位、GROOVE COASTER 世界ランク2位などがある。

  • 梅沢和木 

    梅沢和木

    美術作家

    1985年生まれ。美術家。ネット上の画像を集め再構築し、アナログとデジタル、現実と虚構の境目を探る作品を制作し発表している。2013年に『LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで』(森美術館)などの展示に参加。2013年に個展『エクストリームAR画像コア』(DIESEL ART GALLERY)を開催。CASHIおよびカオス*ラウンジに所属。beatmania IIDX tricoroSP段位皆伝(1467-5211)。